本会議質問は、
「台風19号から学ぶこと。」と
「虐待をなくす。その力をつけるために」
の2点です。
このページには、
「虐待をなくす」の質問を記します。
虐待がこれだけ多くなっている中で、
質問は一歩でしかありません。でも、
その一歩がなければ道は開いていきません。
だから、この日の時点で、考えたこと、
みなさんから聞いたこと、
みなさんから受けた相談、
その中から、
質問を組み立てました。
少し長いけれど、
読んでみてください。
区長答弁は、またのちに。
‥‥‥‥
質問の第 2 は、虐待をなくす。その力をつけるために考えていきたいことです。
若いお母さんから電話が来たのは朝でした。
「家に来 てもらえませんか。子どもを殴ってしまいそうです。」
何度も言おうと思ったけれど言えなかった。でも今日は 殺してしまうかも知れない。
そう思って、電話をかけて くれたのだと言います。
すぐに行きました。よく電話をかけてくれました。えらかったね。
お話を聞くことで、方向性を一緒に考える ことで、
お母さんも、子どもも、落ち着きをとりもどしていきました。
そして、落ち着いたことで、今度はその子が、
クラスでいじめられている友だちのことを心配して、相談をしてくれるようになりました。
きれいなマンションの上層階に暮らすその家族の元で、
こんなことが起こっているなんて、外からは誰にもわか りません。
虐待は、どこの家庭にも起こること。
そのときに、相談ができる、話ができる「意味ある他者」が
そばにいることが、大切なのだと思います。
「意味ある他者」は、
家族でもいい。隣近所の人でもいい。近くのお店の人でもいい。
もちろん、公的機関でもいい。
苦しんでいる人が駆け込むことのできる場所に、みんながなろうとすることが、
虐待をくいとめる力の一つになるのだと思いま す。
「日本一醜い親への手紙」をプロデュースした今一生 さんの講演が、
先月、区内で開かれ、3 人の女性が「虐待サバイバー」として、
壮絶な過去を話してくれま した。
3人とも、美しい笑顔の方たちでした。そこに、十数年も続いた、
それぞれの親からの壮絶な虐待があったと、誰がわかるでしょうか。
しかし、今もなお、彼女たちの心と体は苦しめ続けられています。
それでも、その苦しみを振り切って、それぞれの道を歩きはじめている彼女たちが、
「虐待をなくす」と立ち上がっています。
江戸川区では、いよいよ児童相談所はあとポートが、 開設します。
ここでは、東京都では欠員が生じていた児童福祉司の数も上回り、
さらに加算も含めて103 名体制で、開設にあたるよう準備をされています。
そして、職員を対象とした勉強会を繰り返し開き、
その参加職員はのべ 1,000 名となります。
「一時保護所にはもう行きたくないの」
私が出会った子どもたちは、残念ですが、どの子もそう言いました。
だから、苦しんで児相へ行った子が、さらに苦しむ場所であってはいけない、
そう思ってきました。
新しい児相の職員となる方々は、各地の児童相談所へ研修へ行き、
そして、そこのやり方をそのまま良しとす るのではなく、
毎月戻ってきて、皆で1日かけて考え方やあり方を話し合っているということです。
江戸川区で は、あたたかい児相をつくる、という決意がみなぎっています。
虐待をなくすためには、繰返させないという「再発防止」と、
「予防」の取り組み両方が必要です。
繰返させないということに関しては、どうしてその家で虐待が起こったのか、
それぞれの家庭ごとの背景を知り、それぞれに適した支援の方法を考える、
という方向が必要であると言われています。
しかし、現在は、一時保護所から帰ってきたものの、
親に対するケアが全くないということもあります。
一時保護所にいるときはもとより、もどってからの子どもと親へのケアや、
その人、その家庭にあった学びのプログラムを充実させていただきたいと考えます。
現在のお考えと、さらなる充実に向けた方向をお聞かせ下さい。
虐待が起こってからの回復の道筋は、大抵は、
粘りつよく、長い期間が必要となります。
ですから、虐待をさせない。予防にこそ、さらに、力を注いでいく必要があります。
江戸川区には、50 近くの子育て支援のメニューが あります。
しかし、そのメニューの行われている場所や時間が、
それぞれの親や子にとって身近なところにあるかどうかで、
利用できるかどうかが違っているようで す。
ですから、ひとつのメニューや場所で全て賄う、
という考えではなく、良いと思うことは、なんでもやっていこうという
姿勢が必要なのだと思っています。
虐待をしていた親ごさんと話をすると、
虐待ってどう いうことかわからない、という人がいるということも見え てきました。
殴ることさえも、大事なことだと思っている人もいます。
子どもの前で性行為を見せることも虐待なんですよ。というと、
子どもはわからないと思っていました、と言ったお父さんがいました。
揺さぶることで 脳に損傷を与えるということも、
泣きやまないから、少し激しくあやしただけ、そういう方もいました。
逆に、 泣いただけで、虐待と通報されてしまうから、
口を押さ えた、というお母さんもいました。
大事なことは、ひとりにしないこと。
そして、虐待って何?ということを学ぶ場を増やすことが必要だと思い ます。
江戸川区は、妊娠した時から、保健師さんを中心に、
「心配なことはないですか」とお母さん全員に声をかけ てくれる仕組みがあります。
また、ハローベビー教室では、両親揃って受けている家庭も多くあります。
しかし、 全家庭が受けているわけではなく、数%の家は、受けていません。
また、初めての赤ちゃんの家庭が対象です。
子育ての話は、一度聞いたら全てわかるということではありません。
繰り返し繰り返し、学ぶことがたいせつです。
ですから、何人めの子であっても、赤ちゃんができたら、
その都度お母さんとお父さんと一緒に、子育てについて学ぶ。
虐待についても学ぶ。そういう仕組みが 必要ではないかと思います。
母子保健含めた、虐待防止に向けた一層の充実を、ご検討いただければと考えます。
いかがでしょうか。
また、繰り返し伝える。繰り返し学ぶ。ということで は、
区内全体で、子育てを一緒にしていこう、虐待はなくす、というキャンペーンが必要だと思います。
たくさんの方が虐待に心を痛め、虐待をなくすために 様々な取り組みをすでにされています。
この「子育てヒーロー ハギュットマン」もそのひと りです。
子どもの未来が途絶えてしまわないように、辛いときには逃げられる場所になりたいと、
江戸川区の公式キャラクターお湯の富士や江戸レンジャーともコラボもしながら、
様々な取り組みをしてくれています。子どもたちだけでなく、パパもママも、
ハグしてギュッと抱き ついていけるハギュットマン。私も癒されています。
誰もが、いま目の前にいる苦しむ人、子育てに頑張っている人への、
「意味ある他者」となろうとすること。
そして、親ごさんに向けては、ひとりじゃないからね、周りには助ける人がいるからね、
そのことを知らせるようにすること。
もちろんパンフもチラシも良いものがどんどん作成されていますが、さらに、
その内容が目につくようにすることを考えてみてはいかがでしょうか。
例えば、親や子どもが目にする商品である、オムツや離乳食などに、
「虐待ダメだよ一言」として、「たたいたら、脳が発達しなくなっちゃうよ」とか、
「無視した ら、心を壊しちゃうんだよ」、「話したい時は、児童相談所があるよ!」などなど、
一言ずつ、いろんな場所で、 いろんなところで、手に取った時に繰り返しみえるようにしていく。
商品元と話して、OK が出たら、小さな啓発シールを貼らせてもらう。
キッズやベビー向けの商店 にもお願いするなど、区内でもできることがありそうです。
繰り返し学んでいくことができる。そんな仕組みづ くりをしていくことが
必要ではないかと考えます。いか がでしょうか。
以上で、1回目の質問を終わります。