会議 | 令和3年 第2回 定例会-06月11日-03号 |
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日付 | 令和3年6月11日(金) |
開会 | 午後1時 |
閉会 | |
場所 | |
案件 | 日程第一 一般質問 日程第二 陳 情 第七十九号 ~ 第八十二号 ・ 第八十四号 ・ 第八十五号 |
【人工芝について】
◆十三番(間宮由美 君) 真っ青な空に、見渡す限りの、緑。気持ちの良い風が吹く中で、子どもたちは走り回り、寝転がり、スポーツをする人たちの笑顔が印象的です。
芝生のフィールドの光景は、とても気持ちの良いものです。
その心地よい空間を作るために、人々は研究を重ねてきました。そして、自然の芝が叶わなければ、それに代わるものを開発し、人工芝のフィールドができ上がりました。
見た目は、自然の芝と変わらない風景が広がります。しかし、使われる素材によっては、人体への影響、環境への影響が懸念されるということもわかってきました。
江戸川区は、区民の幸福を追求する地方自治体です。また、持続可能な開発を実現する「SDGs未来都市」に選ばれました。さらに、気候変動適応センターをつくり、温暖化対策を強化して、脱炭素社会の実現に向けた取組みを推進するということを提案しています。
その江戸川区であるからこそ、現在進めている芝生化の方向で良いのか、その検証をし、課題があれば方向を転換することも必要ではないかと考え、質問をするものです。
現在、江戸川区では、新左近川親水公園ラグビー場と、西小岩小学校校庭について、芝生化が進められています。素材や仕様については、職員の皆さんが、総合的に勘案し、最善であろうと思うものを選んでくださっています。そこにはかなりの調査とご努力があったものと拝察いたします。
しかしながら、検討過程では生まれなかった疑問や、たどりつかなかった素材があるかもしれません。ですので、改めて、それぞれの素材の安全性や、環境への配慮について、お聞きいたします。
芝生のフィールドを考えるときに大切なことは、地面から地表までの素材の安全性と環境への配慮です。ここでは、人工芝そのものと、人工芝を立たせ、クッション性をよくするために使われる充填剤について考えたいと思います。
ラグビー場は、ポリエチレンの人工芝を敷くとのことです。充填剤は、エチレンプロピレンジエンゴムというゴムチップです。
懸念されることの一つは、充填剤に使われるゴムチップです。使われる多くは廃棄されたタイヤのゴムのため、人体への影響などが取り沙汰されています。しかし、このラグビー場では、廃タイヤではなく、バージン材のゴムを使うということです。しかも、ブラックカーボンは入っていないものを選んでくださいました。
ただ、ゴムであることには変わりありません。ポリエチレンの人工芝とゴムが敷き詰められることで課題となるのが、温度の上昇です。メーカーは、温度の上昇を抑えるために、「Viuシステム」という散水システムを開発し、表面温度六十二度のものを十分間散水することで三十三度まで下げる、としています。
そこで、より詳しい実験結果を拝見したところ、三十三度というのは、実は、一番下がった部分の表面温度でした。
芝生全体を見てみると、表面の平均温度は、五十度から六十度。最高温度は出されていません。このときの外気温は、おおよそ三十度です。
さらに、表面湿度は、散水により一時的に下がるものの、すぐに上がり始めます。その時の熱さ指数は、二十七度から二十八・五度。これは、日常生活においても、運動の指針においても、「警戒レベル」となります。
さらに、新左近川ラグビー場五千平米のフィールドに十分間散水をした場合、使う水の量は、四百五十リットル。メーカーとしては、できれば、一時間おきに散水することが目安、あるいは、試合と試合の間に散水することで、選手の体を守る、ということでした。そうすると、二回散水すれば九百リットル、約一トンです。暑くなる九時から二時くらいの間に五回散水したら、一日に二千二百五十リットル、二トン以上の上水が必要となります。給水制限の可能性もある夏場に、この水の量が使えないこともあります。
さらに、芝生の破片や、芝生の間に詰めている充填剤のゴムチップは、雨が降れば、流れます。フィールドの周りには、ごみを集積するフィルターを設けるとのことですが、それを飛び越えるものもあります。また、昨今の集中豪雨のときはどうなるのか、メーカーに問い合わせたところ、想定以上の雨の量が降った場合は、フィルター機能を使わずに、排水を優先させる。そのことにより、フィールドを水浸しにすることから守るということでした。ということは、芝生の破片やゴムチップは流れ出るということです。
芝生に使われているものはポリエチレン。いわゆるプラスチックの一種です。芝生の破片は、世界中で大問題となっているマイクロプラスチックになってしまいます。
学校の校庭については、少し違う仕様となっています。現在のゴムチップの校庭の上にポリエチレンの人工芝を敷きます。
充填剤は使わず芝をくしゅくしゅと縮めたものを使うということです。
ゴムチップの充填剤を使わないことを選んでくださいましたので、ゴムチップに対する心配はありません。
しかし、芝生一面に、ポリエチレンというプラスチックの一種である素材だけが敷き詰められることになりますので、温度の上昇は否めません。さらに、静電気も起きやすくなります。また、ちぎれた芝生はマイクロプラスチックになります。
以上懸念されることについて、述べました。
五千平米のフィールドも、学校の校庭も、将来禍根を残すことになってはならないという思いから、今取り得る最善の策をと願うものです。
現在進められている新左近川親水公園ラグビー場、西小岩小学校校庭については、どのような芝生化の予定になっているでしょうか。
それぞれの素材の安全性、地球温暖化、マイクロプラスチックなど、環境への配慮についてもお聞かせください。
また、スポーツ施設、学校施設における人工芝生化を進める意義と、今後の整備予定をお聞かせください。
以上、質問といたします。
○副議長(堀江創一 君) 斉藤区長。
〔区長 斉藤 猛君登壇〕
◎区長(斉藤猛 君) それではお答えをしてまいります。
人口芝生化一本に絞った、今回はご質問ということでございまして、いろいろご懸念をいただきまして、ご心配をいただきまして、ありがとうございます。我々はそれをいかに払拭して、区民の皆さんに使いやすい競技場にするかということに尽きるかなというふうに思っております。
今、ラグビー場と西小岩小学校のお話をしていただいたのですが、ご存じのとおり、テニスコートでは今二十四面ございます。臨海球技場ではフットサルコートで二面ございますし、臨海球技場の多目的グラウンド等でも同様ということでございます。ここは、人工芝、天候に左右されずに、芝を休養させる期間が不要ということで、通年利用が可能ということでございます。
例えばでお話ししますと、臨海球技場については、冬の期間、二か月クローズしておりますし、陸上競技場であれば、週に一回しか使えないという形でございます。ある一定の期間ということですね。週に一回ということでよろしかったですよね、そうですよね。すみません、週に一回しか使えないということでございます。
そういったことから、区民のスポーツを行う機会をより多く提供することということでございます。それと同時に、区民の皆様からの要望もいただいているという部分もございます。
そういった中で、プラスだけじゃなくて、マイナス面もありますねということで、今、ご懸念を言ってくださったと思っておりますので、そういった部分については、しっかり取り組んでいかなければいけないなというふうに、今、お話を聞かせていただいたところでございます。
具体的なそれぞれの場所での素材等につきましては、ラグビー場については文化共育部長から、西小岩小学校については教育長からお答えをさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
大変失礼しました。冬の期間、二か月養生しなきゃいけないのは、私のほうで臨海球技場とお話をしてしまったのですが、江戸川区球場、野球のほうです。大変失礼しました。訂正させていただきます。
○副議長(堀江創一 君) 千葉教育長。
◎教育長(千葉孝 君) それでは、まず西小岩小学校の話からになりますけれども、どのような芝生化の予定になっているか、それぞれ素材の安全性やという話なのですけれども、非常に細かくご説明いただきましたので、全くそのとおりです。素材につきましてもおっしゃっていただいたとおりですし、懸念の部分もその部分、当然、物事、いい面もあり、悪い面もありという形であります。
ただ、芝生、人工芝なんですけれども、それこそ昔の人工芝と今の人工芝、素材から、あとはそれぞれ、昔ですと、野球なんかで滑り込んだときにはやけどをしたり、ユニフォームが切れたりなんていうこともあったのですけれども、今の素材はもうそういったことがないと、そういった欠点の部分はどんどん改良されているということになっております。その辺は私も担当職員から聞いて驚いた次第です。
素材はポリエチレンですか、という形で使います。ただ、やはりおっしゃっていたように、温度の上昇、そして静電気ということはあるそうです。それについては、それもまたお話の中でありましたけれども、散水によって上昇を抑え、また静電気の発生を抑制するということ、非常にそれは効果があるというふうに伺っておりますし、学校においては、散水設備をしっかり適切に、この工事のタイミングで散水設備についてもしっかり適切に設けるということを行いたいと思っています。
それから、環境の話なんですけれども、人工芝、切れて飛んでいってという話なんですけれども、今の材質については、大変切れにくい素材となっているということであります。
そうはいっても切れないわけではありませんから、切れたものについては、学校校庭の周りに巡らせております排水溝、そちらのほうにしっかりとフィルターを設けて、それが川や海に流れていくことがないように、そういったことを防ぐという、そういった配慮もしながらの整理というふうになっております。
そういったものを進めていく意義ということでありますけれども、議員質問の中で、冒頭でおっしゃっていただきましたけれども、子どもたちが走り回り、そして寝転がりと、そいうったイメージを持っていただきました。まさにそのとおりであるというふうに思っております。
人工芝、クッション性に優れておりまして、転んでもけがをしにくいと。昨日も申し上げましたけれども、私も足立区の学校を見たときに、校庭で寝転がって遊んでいる子どもたちの姿を見ました。そういった姿がこれから見られるのかなというふうに思います。
施設の管理面で言いますと、水はけがよいということで、雨が降っていても、やんだらすぐ使うことができると。また、砂ぼこりがないものですから、近隣への迷惑をかける、そういったことが少ない。あと、既にダストの校庭と違って、既にラインは引かれておるものですから、先生がいちいち体育のときにラインを引いたりと、そういったこともなくなるということであります。
今後の整備につきましては、とにかく今年度、今後の整備につきましては、今年度、整備されます西小岩小学校での使用状況をしっかり検証した上で考えていきたいというふうに思っております。
学校については以上です。
○副議長(堀江創一 君) 彦田文化共育部長。
◎文化共育部長(彦田義敬 君) 私のほうからは、新左近川のラグビー場の人工芝、これについてお答えをさせていただきたいと思います。
先ほど区長、教育長からも申し上げましたとおり、それから、議員お話しいただいたとおり、このラグビー場に採用する人工芝の素材と設備については、今考える中では最善を目指した、先進的なもの、そういったものを採用しております。そして、大変切れにくい耐久性の高いもので、しかも衝撃吸収とか表面温度抑制等に加えて、お話しいただきました散水システムと、それから排水フィルターも設置しておりまして、安全と環境を考えた、そういったものになっております。
散水システムについては、ミストほどではないんですが、霧雨のように散水する節水型でございます、仕組みの中では。そういったことで、この人工芝製品が環境省の環境技術実証モデル事業、そういったものにも採択をされております。お話のとおり、カーボンブラックも使ってはおりません。そういうことでございます。
ご心配の部分については、グラウンドの整備だとか、フィルターの清掃など、丁寧な工夫を施しながら、安全と環境に十分配慮して管理の運用をしてまいりたいと、そういうふうに思っております。
スポーツ施設で新たに人工芝化する予定は当面ございません。人工芝化を進める意義というのは、先ほど来お話の出ている、通年で安定的に使用できるというところだと思っております。
なお、このラグビー場、完成は今年度末を予定しているところでございます。
以上でございます。
○副議長(堀江創一 君) 間宮由美君。
◆十三番(間宮由美 君) ありがとうございます。ご答弁いただきましたように、区としては今のものの中から最善のものを選び取ろうとしていただいています。ですからこそ、さらにもう一歩お考えを進めていただきたいと願うものです。
質問の冒頭に、検討過程では生まれなかった疑問や、たどり着かなかった素材があるかもしれませんと申し上げました。疑問、懸念については、先ほど質問で延べさせていただきました。ご答弁を受けた上で、解決には至っていないこととして、まず、プラスチックの芝生や充填剤による熱の放射が、地球温暖化に結びつくという問題があります。そして、それを解決するために大量の水を使うということも、新たな問題として出てきています。さらに、そこに使われる充填剤としてのゴムチップが、マイクロプラスチックになるという問題です。
学校の校庭は、充填剤を使わないという選択をされました。ただ、芝全体にプラスチックが存在することは事実です。
世界を見てみますと、欧州の化学物質庁は、充填剤としての人工芝用のゴムチップのマイクロプラスチックは、六年間の移行期間を経て完全禁止とすることを推奨するという勧告を出しました。ドイツでは、約五千ある人工芝のサッカーコートについて、多額の投資をした人工芝をどうやって天然のものにしていくかということで、国中で話し合いがされているということです。
さらに、ゴムチップの人体への影響も、完全に払拭されたわけではありません。厚生労働省は、人工芝用ゴムチップの発がん性や健康リスクに関する研究を、二〇一六年、二〇一八年と、二千七百万円の研究費を使い、行いました。結論には、発がんなどの健康リスクは低いとしながらも、EPA、米国環境保護庁などの国際的動向を踏まえ、ばく露評価については今後報告予定と、されています。
では、人工芝は駄目なのか。そうではございません。ご答弁にもあったように、芝生化するということには大きな意義があります。
現在、芝全体は、これはプラスチック以外はなかなか芝全体については見つけることが難しくもあります。しかし、例えば芝をつけているマットのほうですね(人工芝、充填剤のクルミ等を掲げ)、ここは、トウモロコシや大豆の油で作られた天然素材でできており、一〇〇%リサイクルできるものになります。
さらに、この芝を立たせ、クッション性をよくするために使われるその充填剤、ここに、ゴムチップであれば、ゴムチップがいっぱいに敷かれるわけです。全部に敷かれるわけです。
しかし、それについても研究が進められ、自然素材のものが出てきています。オリーブの種やクルミ、特にすごいのが、このクルミです。アメリカではたくさんのところで使われているんですけれども、このクルミは、水にしっかりと沈むので、流れにくくなっています。
さらにすごいことは、気温、温度を下げる効果があります。そして何より天然素材ですから、土に帰ります。
業者の方々は、今、必死の努力をされて、よりよいもの、より安全なものをというふうに努力をされています。
「海がプラスチックであふれている、私たちには何ができるだろうか。プラスチックは分解せずに海に漂い続ける。人間が環境を変化させたために、動物たちはそれに耐えなければいけない。環境問題の解決は、全世界の協力にかかっています。」
これは、世界七十か国以上で千二百回以上の上映がされて、国連本部ではプレミア上映会がされた話題作「プラスチックの海」の言葉です。
江戸川区として、ラグビー場や校庭の芝生化を進めるにあたり、変更できる部分につきましては、ぜひ再検討を願うものです。
質問を終わります。
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